社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「そうね」

「連絡したほうがいい人はいるのか?」

「……どういう意味?」

「……いや、恋人とか」

「いないわ。あなたは?あなたには、今お付き合いしている人いるの?」

「いや、いない」

「……良かった。あのとき鈴木さんすぐに謝ったでしょ。後悔させたんだって思った」

「里沙」

 俺は彼女をそっと抱きしめた。そして再びキスをした。あのときと同じように優しく一度だけ。頬をなで、おでこにキスを落とした。あのときと同じ目をしている彼女を見て、俺は密かに決意した。

「明日、迎えに来るよ。遅くなるかもしれないがそれまで病院で待っていてくれるか?」

「うん」

 そう言って部屋を後にした。
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