社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「ああ、でも部長も俺を出したがっていたし、渡りに船だったんだろう。俺も入社当初は営業に配属希望だったし、長くここにいすぎたよ」

 そう言えば、最初そんなことも言っていたと思いだした。

「それなら、良かったね。悟の社交性なら営業はぴったりよ。みんなあなたの言葉に騙されてくれそう」

 悟は私を睨んだ。

「里沙、お前を騙した覚えはない。俺から口説いたのはお前くらいだ。他はほとんど女から俺の方に来るんだよ」

「それは光栄です。すぐに飽きられましたけど……」

「……里沙、お前」

「もういいわ。過去の事よ。とにかく引き継ぎしてちょうだい」
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