社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「お前に教えることなんてない。会計に関してはお前の右に出る奴は実務でいない。四年ここにいた俺が断言する。間違いない。秘書なんてやらせた専務は馬鹿だ。宝を部から取り上げて自分のものにしてどうするんだって話だよ。いなくなって良かった。会計部のためだ」
「……ちょっと言い過ぎよ」
ふたりで馬鹿みたいに話しながら仕事をさばいていく。
周りも私達が特別な仲だった事を知っている人も大勢いて、遠巻きにしていた。
悟と付き合っていた隣の部署で派遣だった木村さんは、結局他の部で正社員になるらしい。営業二部だったら笑えないけどね。
後ろからゴロゴロと椅子を回してこちらに来たのは佐倉さん。
「やったー!先輩こっちに戻ってくるんですってね。嬉しい!また色々教えて下さいね」