社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「まあ、そうだね。賢人のいる部署は男性の秘書というか政策秘書の部隊だからね。あの会社で女性秘書は政策について触れることは出来ないんだ。でも仕事柄交流があるというわけだよ」
「……なるほど」
「ここだけの話。賢人は社長のお気に入りのひとりだ。もともとは御曹司である陽樹専務の学生時代からの親友なんだ。頭が切れるから専務が自分のところへ入社させようと学生時代から口説いていたんだ。でも賢人はちっともなびかない。それで専務が父親である社長に頼んだ。社長は彼に会って気に入り、周りから固めて説得して入れたと聞いている」
そうだったのね。要するに氷室社長が自分の娘婿にしたいくらい気に入っているって事なんだ。
「縁談の相手を聞いたんです。社長のお嬢さんですよね?」