社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「かわいいなあ、君。顔に気持ちが出てる。おそらく賢人は君に本気なんだよ。あいつは今の仕事を嫌なわけではないけれど、陽樹の完全な支配下でさらに義理の弟なんて絶対になりたくないと思う。社長は娘だけじゃなく専務が心配なんだよ。賢人を親族にしてしまえば彼はもう離れられない。一番安心だ」
「お嬢様の気持ちはどうなんでしょう?」
「それもねえ。彼女の好きだった人は別な女性と婚約してしまって、即座に賢人をあてがわれた。その時、彼女は社長に賢人との縁談は考えられないと言ってたよ。彼女にとっては賢人も兄同然だからね」
そうなんだ。恋心は全然ないのかしら?文也さんは面白そうに私の顔を見て言った。