社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「お前言うようになったな。というか、腹に据えかねたのか?」
「正直、この会社を去ろうかと本気で悩みはじめました」
陽樹が音を立てて立ち上がった。
「わかった。任せろ。それだけはダメだ。俺が父に説教してやる。お前を失うくらいなら息子にするのを諦められるだろう」
「……頼みますよ」
「悪いな、賢人。お前にそんな顔させているのが心苦しいのは入社させたときから変わらない。お前ほどの人間を縛り付けているという気持ちもずっとある。いずれお前のやりたいことをさせるから……」