社内捜査は秘密と恋の二人三脚

 会計士ではなかったが、数字を見て入力したりするのが大好きだったので、皆が呆れるほど生き生きと仕事をしていた。

 それで何故か役員の畑中専務の秘書にどうだと言われて、どうして私なんですか、と部長に聞いたら、大抵のことは君なら答えられそうだからと言われてしまった。

 会計部のことは大分知り尽くしたところだったので、まあいいかと何も考えず受けてしまった。

 でも、秘書になってから、大好きな数字から遠ざかり少し後悔している。

 まあ、上司の畑中専務は私にとっては良い上司。私はまだ秘書になって一年だけど、本当に不慣れなのに叱ることもせず私が逃げ出さないように優しくしてくれる。

 専務が部屋から出て、外出の今日午後はゆったり出来る。あと三時間二十五分。私の時間だ。

 そうだ、重要書類を段ボールにわけておかないといけなかった。時間が結局いつも足りなくてなかなかできない。

 今日こそ、専務が外出されている時にこそ片付けよう。

 あと、二時間でやろうっと。タイマーかけちゃおう。ああ、数字が減っていく……見ているだけで楽しい。

 自分でもかなり変わっていると認識してる。
< 2 / 385 >

この作品をシェア

pagetop