社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「あ、ちょっと待って。起こさないで……」

 文也が目の前まで来て俺に言う。

「あのね、お前のことを本社にいる知り合いから聞いたらしい。縁談のことだよ」

「!」

 京子さんが言っていたことがすぐに現実となるとは……タイミングが悪すぎる。

 俺が顔色を変えたのを見たのだろう、文也がクックと笑っている。

「彼女、俺にそのことを聞きに来た。悲壮な顔をして……お前に聞けばいいのに、一切お前に聞かなかったんだな?」
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