社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「う、うん。文也さん、お会計は……」

 文也が遠くで彼女に向かって手を振っている。里沙は律儀に頭を下げた。

「行こう」

 彼女の腕をつかんで歩き出した。そんなに酔っているようには見えない。やはり寝不足だったのか?

「……寝不足だったのか?」

 驚いた顔をして俺を見た。小さく頷いた。

「……そうなの。ここ二日くらい寝てなくて」

「俺のせいか?文也に聞いた。心配させたようだな。だが、大丈夫だ。もう少しで解決するはずだ。連絡せず悪かった」
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