社内捜査は秘密と恋の二人三脚

 通りに出たところで彼女は止まった。

「解決ってどういうこと?そんなに重要な縁談なら私じゃ相手にならない。あなたが今の立場や将来についてどう考えているのか聞いていないもの……」

 里沙の言葉に驚いた。彼女のこういう思慮深さに文也はやられたんだとすぐにわかった。

「里沙。お前を帰したくないんだが、俺の部屋はぐちゃぐちゃだ。お前のところに行くのもまずいならどこか泊まろう」

「だめ。ねえ、少しきちんと話をしたいの」

「なら、食事しよう。俺はまだ食べてないんだ」

「え?もうすぐ十時近いのに。お仕事そんなに忙しいの?」
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