社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「そうとも思えない。より、陽樹の権力が強くなり、俺の意見は通りにくくなる。俺が思うようにやりたいんだ」
「あなたのような人をなぜ部下にしようと思ったのかしらね。私なら最初から諦めたと思う。一緒に起業するならあなたを選ぶけど、部下にするなんて無理だわ。彼はあなたを理解していないのね、きっと」
「いや、理解はしている。わかっているが、自分のためになるから俺を置いておきたいんだ。保険みたいなものだろう、きっと。友人だったから素のままの彼でいることが出来る。裏切られないと思っているところもあるし……」
裏切られない、か……。そんなこと、考えるんだ。可哀想に。
「ねえ、関根課長の友人って専務の弟さんだって聞いたけど……」
「ああ。俊樹さんっていう弟がいる。彼は今、他の会社に出向中。彼も優秀だ」