社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「あなただってわかってないわよ。縁談を断り切れていないんでしょ。それなのに、付き合うなんてどの口が言えるのかしらね?」

「じゃあ、いずれ付き合うから他の奴とどうこうなろうとすんな。お前は俺が予約済みだからな」

「それだったら、最初からきちんと話してくれていれば良かったのに……」

 彼はぎゅっと抱きしめると呟いた。

「里沙は今だって感情に溺れることなく、現状を厳しく突いてくる。だから、言えなかった。中途半端に手を出して今の状況を知られたら、君が俺から離れていきそうで怖かったんだ。里沙と付き合うために縁談は片づけると決めたから、そんなに待たせる気もなかった」
< 230 / 385 >

この作品をシェア

pagetop