社内捜査は秘密と恋の二人三脚

 私は彼をじっと見て答えた。

「この縁談の話を聞いたとき、あなたが私に隠したかった理由もすぐにわかった。だけど、ショックだった。お相手がお嬢様だということは文也さんに聞く前からわかっていた。それでも、あなたに連絡しなかったのは待つと決めていたから」

「ふーん。俺に連絡しないでなぜ文也?それも腹立つんだけど……」

「だって、あなたに聞くと私甘えてしまいそうだったから。それにあなたが会社で何を目指しているのか何も知らなかった。もしかして、あの会社で出世したいなら良い縁談だし、私が諦めればいいことでしょ。文也さんにその辺りを聞いてみたかったの」

「それで、文也はなんて?」
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