社内捜査は秘密と恋の二人三脚
第四章 新天地

吸収合併

 翌週月曜日。驚くべき事が起きた。あれから財団の社長が辞任し、一時的に会長が代わりを務めていた。だが、不祥事があったというのが噂になり、財団の仕事が難しくなってきたというのだ。会長が皆を集めて話をした。

「この財団の仕事は氷室商事の文化事業ですが、一時的に財団を閉鎖して本体である氷室商事の傘下へ戻ることとなりました。以前は氷室商事の文化部という部署があり、それが独立してここになったのです」

 皆、ざわざわし出した。

「静かに。会社が潰れるわけではありません。ただ、規模を縮小してやり直す必要があるとの上の判断です。そのため、氷室商事のほうへ戻ります。希望者は全員連れて行きますが、本社はここから少し離れています。通いきれないなど色々問題のある人や、早期退職希望も募ります」

「それから、営業部以外の事務方の人達は本社の方へ吸収されますので、異動もあるかと思います。覚悟の上で来て下さい。二週間お時間を差し上げますので、上司経由で希望を提出して下さい。以上」
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