社内捜査は秘密と恋の二人三脚

 文也さんがカーテンを開けて運んできた。チーズの香り、トマトが溶けてる。そして、追加で彼にはウイスキーのロック。私にはウーロンハイ。

「明日から会社で今日のことは誰にも話すなよ。ここのことも話すな」

「あなたは具体的には何をするの?ひとりで潜入捜査?」

 もぐもぐと食べながら聞く。

「……まあ、そんなもんだな」

「私もその調査手伝いたいです!」

 ピシッと右手を上げた。

「何だと?人の話を聞けよ。さっきも話しただろ。そういうのはいらない」

「あのね、私だって首つっこみたくなかったけど、会計部だからあの金額はすごく気になるの。例えばミステリー小説の入り口を読んでやめられる人いる?最後まで読みたいのは謎を解くためでしょ。あなたに制止されると、私はこのもやもやとずっと戦わないといけなくなるのよ」
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