社内捜査は秘密と恋の二人三脚
彼はグラスの酒を回しながら、私をちろっとみて呟いた。
「君はこのグラスの中の氷だ。グラスの中で外を見ながらぐるぐる回っていればいい。そのうち、氷が小さくなるように、君もそのミステリーを時間と共に忘れていく。グラスの中にいれば、飛び出て氷が割れる危険はない」
「部長も、あなたも、私を信用してさっき話してくれたんでしょ?じゃあ、別にいいじゃない。専務を疑っているなら私を使う方が早い」
彼は私を睨み付けた。
「はっきり言う。君を守る余裕は俺にはない。自分のことだけで今のところ精一杯だ。しろうとの君が首を突っ込んで何か失敗したら全てがパーになる。わかったか?言うことを聞け!」
「守ってもらう必要はありません。そんなこと頼んでません!」
ふたりで顔を見合わせてにらめっこ。カーテンが開いた。