社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「下心はなかったと思うけど、私が結構突拍子もないことをすると思っていたとは思う。最初から何度も釘刺されてたけど、私が一旦食いつくと結果を見るまでやめられないしつこい性格を見抜かれていた可能性はあるね。特に、あの横領の数字を見た瞬間から私耐えられなくなった」

「北村さん、数字オタクだもんね。すごい早さで架空取引の金額を計算してたって鈴村さんが驚いていたもの」

 確かに。それは否定しないよ。数字に踊らされた女です、はい。

「だから、私としては勝手に言いつけ守らず色々やりすぎたつけが回ってきたわけだから、彼には頭が上がりませんけど……」

「鈴村さんって、なんか策略を練って行動したり、人のこと観察するの得意そうだよね。まあ、潜入捜査するくらいだから、そういうことに向いた性格なんだろうね」

「……」

 そうかなあ?そうとは思えない。
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