社内捜査は秘密と恋の二人三脚
頼まれていた案件をまとめ終わり、ようやくファイルを片付けはじめた。今日は外出先からこのまま直帰すると先ほど専務から連絡があった。タイマーをかける意味がなくなってしまった。でも分刻みのタイマーを見ているだけで幸せ。
私は腕まくりをしてから、ロッカーへ戻り、ハイヒールを通勤時につかっているローヒールの靴に替えると、早速溶解予定の書類を段ボールにうつしていく。
二箱、いや、もう少し残りがあるから頑張ろうとやっていたら、気づいいたらすでに十九時を回っていた。そういえば、タイマーを止めて、かけ直したんだった。
こういうのって集中すると時間を忘れてしまう。よく、家でも大掃除をすると時間を忘れるのと一緒だ。
カートを取りに行って、見たことのない男性を見た。誰だろう?ここは一応会計部フロア。知らない人はいない。
所属役員はその部のすぐ近くにガラス張りの部屋があり、そこが役員室。フロア内にも必ず席がある。
部長と話している背の高い人。よれよれのスーツに黒縁眼鏡。髪もぼさぼさ。見るからに少しオタクっぽい。