社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「はい、はい。わかりましたから。じゃあね」
そう言って、カーテンの中へ彼は戻っていった。私達は立ち上がって、荷物を持った。
鈴木さんが目配せするので、ついて行く。カーテンとは逆側にドアがあり、そこを開けると裏階段に出た。
階段を降りて、通りまで連れてきてくれた。
「タクシーでいいか?家はどこ?」
「教えてあげません。秘密です」
鈴木さんは片眉をあげてニヤリと笑う。
「そうか。いいんじゃないか?よく知りもしない奴に教える必要はないものな」
「……」
そう言うと、タクシーを呼んで私を中に押し込んだ。運転手にタクシーチケットを渡してる。この人……やっぱりただものじゃない……。
「……じゃあな、おやすみ」
「また、明日。色々ありがとうございました」
バタンとドアを閉めると私がいなくなるのを見ているのがバックミラーで見えた。