社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「ふたりはここで女性として新しい道を作ってもらいたい。京子も力を貸すので頑張って下さい。どうして君達をここへ配属したのかについては、そのうち梶原室長から話があると思います。それとここでは社内の機密も扱います。そこら辺は気をつけて下さい。斉藤さん、関根君にも内密に頼むよ」

 斉藤さんは真っ赤になりながら、こくんと頷いた。まさか、こんなこと言われるとは思っていなかったのだろう。

「それと……北村さん、ちょっといいかな?」

 隣の打ち合わせブースを示された。

「はい」

 京子さんはにこやかに手を振って見送っている。入らないの?ええ?!

「賢人と妹の縁談については円満に解消になったので安心してくれていい。心配かけたようだね」

 突然目の前で思いもしない言葉。さっきの斉藤さんへのひと言といい、手の内の見せ方がうまい。
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