社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「いえ。私が口を出すことではありません。鈴村さん個人のことですし、会社にも関係しているので……」
専務は私を見ながらニヤリと笑った。
「なーるほどね。賢人が気を揉むはずだ。君は彼に執着していない。そして女性にしてはとても理性的。この部署にピッタリだ。京子もそういうところがある。いいコンビになりそうだね」
「……あの……」
「君に頼みがあるんだ」
「何でしょう?」
「年々、賢人は俺に本音を見せなくなってきた。そうさせているのは俺だけど、今度昇格すると益々そうなる可能性がある。それでだ。これから彼を近くで見ていて気になることが出来たら、京子経由でいいので取り返しの付かないことになる前に、ぜひとも俺に教えて欲しい」