社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「ははは、これは強敵だ。京子が褒めるはずだな。一度会っただけで君が好きになったようだった。文也もしかり。君は、なかなかだ」

 でも専務と私はあまり相性が良くないと思う。私と京子さんには決定的に違うところがある。

 京子さんの言動は、そこかしこにかいま見えるかわいらしさがある。それが私にはない。専務は立ち上がると、言った。

「じゃあ、賢人のことよろしく頼むよ。あいつは今俺の部下だが、一番俺が望んでいるのは親友でいることなんだ。もし、友でいられなくなるようなら考えなければならないからね」

「はい。お気持ちはわかりましたので、出来るだけのことは致します。こちらこそこれからよろしくお願い致します」

 専務は私が頭を下げている間に出て行った。

 斉藤さんは関根課長が所属する部署の案件を立案して役員へ回す書類を作るようだ。
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