社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「ありがとう。君に頼んで間違いはないからね」

「……いえ。専務、そろそろ会議のお時間ですけど」

 時計を見た畑中専務は驚いて書類を持つと立ち上がった。

「すっかり忘れてたよ。じゃあ、行ってきます」

「はい、行ってらっしゃいませ」

 立ち上がって頭を下げた。専務は左手をあげていなくなった。

 私は彼がいなくなってから、ふと言われたことを頭に浮かべ嫌な予感がした。

 昨日のことがあってから、どうも私まで頭が探偵モードになってしまった。昨日、専務から指摘されて箱へ入れた付箋書類、もしかして何かあるの?確認されたのは初めてだ。

 トラックで運ばれてしまう前にもう一度中身を開けて見てみた方がいいかもしれない。私自身は中身を見るほど余裕がないから何も知らないのだ。
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