社内捜査は秘密と恋の二人三脚

 確認したほうがいいかもしれないと思い立ち、急いで地下の昨日の部屋へ行くため鍵を持って部屋を出た。

 相変わらず、鈴木さんは猫背でファイルをめくっている。
 
 彼を遠巻きに後ろの方で女子社員がこそこそ話している。あんまりいいことを言っているようには見えない。ルックスが8割の人気を占めるこのご時世、彼の演技は彼女達の興味をそらして、ある意味対象外になったと思う。

「里沙せんぱーい!」

 後ろを見ると、私が指導員をした二歳下の会計部の女子社員。

「あら、久しぶり。元気だった?佐倉さん」

「ええ。先輩こそ、元気ですか?神部さんのこと噂になってますよ……でも、全面的に悪いのは神部さんでしょ?みんなにそう言ってありますからね」

 相変わらず私のこと好きなのはいいけど、余計なことまで言ってないかしら?部内同期で悟と付き合って別れたんだから、噂になるのはしょうがないと諦めている。
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