社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「はー」

 ため息ばかりの俺を見て、陽樹が笑いながら言った。

「いやあ、賢人。モテモテだな。瞳を振ったから、男どもにはいじめられ、女達には追いかけ回され、ご苦労様な毎日だ」

 何だと?マジで切れそうだ。

「……副社長。余計なことは言わないで引き継ぎお願いします」

「鈴村さん。お気を付けくださいね」

 京子さんがちろりと俺を見ている。

 里沙のことも知っているのはこの二人と文也くらい。里沙との付き合いを公表すれば、縁談破棄の理由もわかるし、すぐに結婚していれば余計な女達を一掃できた。
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