社内捜査は秘密と恋の二人三脚

 だが、入社前の夜。

 あんなにナーバスになっている里沙を初めて見て、あまり要求しすぎるとフラれてしまいそうだと及び腰になった。

 とにかく、里沙はさっぱりしている。この秘書室の女性達のようにくねくねしたり、こびを売るようなことは一切しない。

 どう考えても、最初は彼女のあの目に誘惑されたが、それ以降は俺が追いかけている。

 しかも、最近はあいつから全然メールが来ない。俺も忙しくて連絡していないが、今までの付き合っていた女達は向こうから毎日メールが来ていた。あの執着はなんだったんだと驚くほどだ。

 俺は彼女に放っておかれている。初めて女性と付き合って相手に振られるんじゃないかとおびえているんだ。

「はー」

 陽樹が外出したら、京子さんが俺の前に来た。
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