社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「都合のいいときだけそんなこといいやがって……」

 私はふたりが話しているのを聞きながら、賢人に言った。

「賢人、心配しないで。出来ないことは出来ないとその場でサインを文也さんに出すから……」

「どの口がそんなこと言える?この間は拉致されたくせに……まだ懲りてないのか?俺は心配で死ぬかもしれない」

 賢人は頭を抱えている。文也さんは真面目な顔をして言った。

「ターゲットはいつもここで女社長に情報を何らかの方法で渡している。それを見破ってくれたら助かる。何か渡しているようなら、彼女はいつも帰り際にトイレへ行くから、そこで彼女と話してほしい」

 なるほど……そういうことか。女子トイレは入れないものね。
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