社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「しばらくはうちの業務になれるまでここにいて、そうしたら彼の秘書もやればいい。あなたは秘書経験もあるし、問題ないわ」
なるほど。そうか……そうすればいいんだわ。
「ふふふ。斉藤さんもいずれそうなるわ。お相手の彼は役員候補だもの」
小さい声で付け加えた。斜め前で仕事をしている彼女は気がついていない。
「うちは、大抵秘書と結婚しているの。だから例外はほとんどないので周りも認めてくれる。やりやすいのよ、そういう意味では……」
「そういえば、社長の奥様も社長秘書だったそうですね」
「その通り。でもあなたを狙う役員候補も逆に言うと大勢いる。彼はそれも心配なんだと思うのよ」
「……そんなことはないですよ」