社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「しばらくはうちの業務になれるまでここにいて、そうしたら彼の秘書もやればいい。あなたは秘書経験もあるし、問題ないわ」

 なるほど。そうか……そうすればいいんだわ。

「ふふふ。斉藤さんもいずれそうなるわ。お相手の彼は役員候補だもの」

 小さい声で付け加えた。斜め前で仕事をしている彼女は気がついていない。

「うちは、大抵秘書と結婚しているの。だから例外はほとんどないので周りも認めてくれる。やりやすいのよ、そういう意味では……」

「そういえば、社長の奥様も社長秘書だったそうですね」

「その通り。でもあなたを狙う役員候補も逆に言うと大勢いる。彼はそれも心配なんだと思うのよ」

「……そんなことはないですよ」
< 376 / 385 >

この作品をシェア

pagetop