社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「じゃあ、同棲しましょうか?」
「その前にお前の両親へ会いに行こう。面倒だから俺としては……」
「そのことだけど……もしそういうことなら、きちんとしてね。私それだけは楽しみにしてるの……順番間違えないでね。私達、最初からずいぶんと秘密だらけだったし、付き合うのに順番が違ってるから」
「ああ、わかった」
さすが、元偽装潜入捜査員。私の言ったことを察してくれたようだ。
二週間後、彼からディナークルーズに誘われて、夜景を見ながらプロポーズされた。
知り合ってようやく一年が経つかという頃だった。こんなに早く決断していいのかと皆に聞かれたが、全く考えていなかった。親や友人に指摘されて初めて気付いた。
彼とは出会ったあの地下室から、運命だった気がする。猫背にボサボサ頭、黒縁眼鏡、ヨレヨレのスーツ。
今も思い出すと笑ってしまう。運命とはどこに転がっているかわからない。
私達も京子さん達同様、公私共に過ごす日々がようやく始まりそうだ。
fin.