社内捜査は秘密と恋の二人三脚
 重みで勝手に閉まるドアと勘違いしている人がいるが、このドアは押してきちんと閉めないとロックがかからない。途中で離すとこういうふうになるのだ。

 ということは、ここのことをあまり知らない人が中にいるという証拠なのだ。新人さんかな?それにしては時間が遅いし、誰だろう?警戒して静かにドアを開けた。

 中からこそこそと話す声がする。え?何?

 電気も付いてない。でも非常灯のようなものがあって歩くことは出来る。

 これは入らない方がいいかもと第六感がピピッときた。

 私は荷物を外に置いたまま、ドアを閉めようとしたらはっきりした声が聞こえた。

「いや、まずいよ。これを全部捨てて何かあったときに俺らのせいにされたら困る。一応、部長印があるやつだけ取っておこうぜ」

「前回の契約も他より五千万以上は余計な経費で計上してる。関係する請求書と領収書はどれだ?部長は気付いてないらしいから、とりあえず探してそれだけここに入れて隠しておこう」
< 6 / 385 >

この作品をシェア

pagetop