社内捜査は秘密と恋の二人三脚
「ねえ、やっぱりこの大阪の美術館宛ての領収書が多いような気もするの」
「うん?どれだ?」
彼が身を乗り出して、私の背中から書類をのぞきこんだ。
「これよ」
背中越しに彼が私の前に手を伸ばして書類をつかんで見ている。
「ああ。梅田のこの美術館だろ?前もそうだった。やはりここがターゲットになっている。きっと美術館の方の警戒心が緩いのか……あるいは内部に誰か手引きする者がいるのか、そこがわからない……」
私は振り向いて彼を見た。彼も私をじっと見た。
「あの営業二部の二人の知り合いがその美術館にいるのか、関根課長に聞いてみたらどう?知っているかもしれないし……」