俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
「すみません、ご迷惑をおかけして」

「急に立ち上がってはいけません、僕は北山健志と言います、医者です、僕の診療所はすぐそこですから」

北山先生はそう言うと、私を抱きかかえて診療所まで運んでくれた。

簡単な血液検査をして、結果が出るまでベッドで休むように促された。

「貧血だと思われますので、この薬を飲んで安静にしててください」

「ありがとうございます」

「出来れば、東京の設備の整った病院で、ちゃんと検査をした方がいいと思いますよ」

「以前働いていた会社の医務室でも言われました」

「そうでしたか」

北山先生は恥ずかしそうに下を向いた。

私は北山先生の薦めでしばらく入院することになった。

入院中、北山先生を訪ねてくる患者さんが途切れることがない。

「北山先生、腰が痛くてなんとかしてくれんかのう」

そう言って診療所を訪ねて来たのは、この島にずっと住んでいるとよさんだった。

「とよさん、湿布を出しておくから、しばらく貼って様子見て?」

「北山先生、いつもすまんのう」
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