絶対零度の御曹司はおひとり様に恋をする

絶対零度。


会社内の誰もが彼のことをそう噂してる。


仕事に関してはやることなすこと、どれも完璧。付け加えるなら、その容姿はテレビで見かける俳優さんよりも洗練されている。取引先や関係者だけに見せる完璧な笑顔は、私にしてみれば嘘っぽいけど、みんな騙される。その裏側では容赦なく意見を切り捨て、人を切り捨て、女性を切り捨てる。


正直なところ、私は彼のような人がとてつもなく苦手だ。


だけど営業部のエースである彼と、経理部の私が関わるようなことはほとんどなく、色々な噂は耳にしていても対岸の火事だと思って聞いていた。




ーーーあの、雨の日までは。





まさか、私が彼と関わる日が来てしまうなんて。


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