絶対零度の御曹司はおひとり様に恋をする
ものすごい衝撃を受けたことだけは確かだった。
「分かりますか。病院ですよ」
目を開けると同時に優しく声を掛けられた。白衣姿の看護師さんが私を見下ろして、ニコリと微笑んだ。
「あの…、私」
「覚えてませんか?」
「あの…はい。すみません」
本当は何となくなら覚えていた。でもそれは少しずつ断片的なもので、上手く言葉に出来る自信がなかった。
「謝らなくていいんですよ。頭を打たれたようなので、記憶が混乱してるのかもしれないですね。ご自分のお名前はわかりますか?」
「はい。真下です。真下紗凪です」
「大丈夫ですね。真下さんは横山町の横断歩道上で事故に遭われたんですよ。犬を助けられたんですね。目撃者の方がいて、直ぐに救急車を呼んでくれたみたいですよ」
看護師さんの話してくれる内容が、バラバラになっていた記憶を正しい場所に配置し直してくれる。
あの時、犬を追いかけて、確かにこの腕の中に抱えた。その瞬間、「避けろ!」って男性の声と共に腕を強く引かれた。そのまま倒れ込んで、その時に多分頭をぶつけたんだ。不思議と痛みは覚えていないけど。
あの声の男性が私の腕を引いてくれたんだろうか。だとしたら、お礼を言わなければいけない。その人がいなかったら、私はきっと今ごろ、ここにはいなかったはずだ。
「あの、看護師さん」
「はい」
「私を助けてくれた方に連絡は取れますか?」
「それはもちろんです。とても心配されていましたよ。救急車の後ろからついてきて、つい先程まで待合室にいらっしゃったんですよ」
「分かりますか。病院ですよ」
目を開けると同時に優しく声を掛けられた。白衣姿の看護師さんが私を見下ろして、ニコリと微笑んだ。
「あの…、私」
「覚えてませんか?」
「あの…はい。すみません」
本当は何となくなら覚えていた。でもそれは少しずつ断片的なもので、上手く言葉に出来る自信がなかった。
「謝らなくていいんですよ。頭を打たれたようなので、記憶が混乱してるのかもしれないですね。ご自分のお名前はわかりますか?」
「はい。真下です。真下紗凪です」
「大丈夫ですね。真下さんは横山町の横断歩道上で事故に遭われたんですよ。犬を助けられたんですね。目撃者の方がいて、直ぐに救急車を呼んでくれたみたいですよ」
看護師さんの話してくれる内容が、バラバラになっていた記憶を正しい場所に配置し直してくれる。
あの時、犬を追いかけて、確かにこの腕の中に抱えた。その瞬間、「避けろ!」って男性の声と共に腕を強く引かれた。そのまま倒れ込んで、その時に多分頭をぶつけたんだ。不思議と痛みは覚えていないけど。
あの声の男性が私の腕を引いてくれたんだろうか。だとしたら、お礼を言わなければいけない。その人がいなかったら、私はきっと今ごろ、ここにはいなかったはずだ。
「あの、看護師さん」
「はい」
「私を助けてくれた方に連絡は取れますか?」
「それはもちろんです。とても心配されていましたよ。救急車の後ろからついてきて、つい先程まで待合室にいらっしゃったんですよ」