副社長秘書は溺愛彼女を囲って離さない

涼太は驚いた顔をした。
そして、瞳を揺らす。

そりゃそうだろう。
普通は、家族が一緒にいて、ご飯を食べるだろうに。

私は施設育ちだから、ご飯は給食みたいな感じだった。

みんなで、学校みたいに。
それはそれで、楽しかった。

今まで、そんな事にも何の疑問も持たずにいたのに。

こんな風に初めて食べたなんて聞いたら、誰だって驚くよね?


すると、ポロポロ泣く私を涼太はギュッと抱きしめた。
強く。強く。

「りょ、涼太?」

「栄麻。俺がいるから。いつでも、作ってやるから。な?栄麻は、ひとりじゃない」

涼太は、そう言って、さらにギュッと抱きしめてきた。
そして、私が今1番聞きたかった言葉をくれた。

"ひとりじゃない"

私はきっと、寂しかったんだ。
ずっと。
気づかなかった。
今まで。
進と暮らしていた時ですら。

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