副社長秘書は溺愛彼女を囲って離さない
8
〜涼太side〜
何も言わずにグイグイ歩みを止めない俺に
「ちょ!!ちょっと!!」
と俺を見上げて何かごちゃごちゃ言ってるけど、俺はそれどころじゃなかった。
あのクソヤロー。
俺の花子に、わけのわからない事ばかりほざきやがった。
今にも、引き返して、殴ってやりたい衝動を何とか堪えていた。
クソっ!
花子が目の前にいるから、怖がらせまいと何とか最低限に留めたが、ちくしょう。
やり直そうだ?
もらってやる?
ふざけんな。
我慢だ。俺。
花子の前だ。
花子が一番、傷付いているはずだ。
落ち着け。
何度も何度も自分に言い聞かせる。
そして、信号待ちになりやっと落ち着きを取り戻した俺は、花子を見た。
「大丈夫か?」
花子は、急に話しかけられて驚いてるようだ。
「た、助けてくれて、ありがとう涼太」
そう言って、俺を見上げた。
ヤバい。