副社長秘書は溺愛彼女を囲って離さない
私は取り乱す事なく、
「お幸せに。
子どもに罪はないものね。
お金はありがたくもらうわ。
家はすぐに出て行くのでご心配なく。
残ったものは、処分して。
そのくらいはいいでしょ。
それまでは、あなたはそこの彼女の家にでも行っててちょうだい。
さよなら」
「悪い。」
とりあえずみたいにそう言った進を見る事もなく、レストランを後にした。
私の両親は、小さな頃に交通事故で亡くなった。
兄妹もいない私は1人になって、例外なく親戚をたらい回しにされ、施設で高校を卒業するまで暮らした。
幸い、とても良い施設で私はグレる事もなく、何不自由なく学生時代を過ごすことが出来た。
今思ったら、本当にラッキーだったと思う。
それもあって、施設を出た今、私が婚約破棄されたところで、わざわざ報告する家族もいない。
へんな話だが、逆に良かったな
なんて思った。
あんなクソ野郎はとっとと忘れてしまおう。
お金もこの際、パァーッと使ったろ。
残してても、気持ち悪い。