猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
ついさっきおとなしくしていようと思ったことはすぐに忘れて、尚美は口で薄いアルバムの背表紙を挟んで引きずり出した。

アルバムはすぐに引っこ抜けて、そのまま床にパサリと音を立てて落下する。
尚美はジャンプして身軽に着地すると、ゆうゆうとそのアルバムを確認しはじめた。

ページをめくるときには少しだけ爪を出して、肉球と爪の間にページを挟んでめくればよかった。

猫生活が長いせいで、こういう器用さも持ち始めていた。
「ミャア」

写真に写っているのは健一によく似た男性と見知らぬ女性。
そして女性の腕に抱っこされている赤ん坊の写真だった。

男性の方は健一によく似ているけれど、健一よりも若くみえる。
そして抱っこされている赤ちゃんはまだ生まれたてといった様子だ。

健一の親族の写真だろうか?
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