猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
「ミャア」
なんとなく事情が飲み込めて嘆息する。

健一はきっとこの子供のことが大好きなんだろう。
それで、幼い頃の思い出としてあの哺乳瓶をもらったのだと思う。

写真の中に残っている健一はぎこちないながらも優しい目をして赤ちゃんを見つめていたからわかる。

なぁんだ。
こんなことだったんだ。

すべてがわかればどうってことはないことだった。
外に家庭があるなんて、バカバカしい。

今更ながらに笑いがこみ上げてきたとき、玄関チャイムが鳴った。
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