猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
「すごいだろう? その話をするために今日の昼にも来てくれたらしい」
今日の昼って、じゃあ健一が目当てじゃなかったってこと?

「報酬はたくさんのお菓子でどうかしら? もちろん、今日持ってきたものは別として」

ゴクリ。
思わず唾を飲み込んでしまった。

雑誌の編集者。
そして今日の昼間もこの話のためにきたというのなら、ヒールをはいていた理由もわかる。

山内は仕事のつもりでこの部屋を訪れたのだ。
すべては自分の思い過ごし……。

そうとわかると途端に脱力してしまう。
てっきり健一目当てで部屋に来た女だと思っていた。

だけど全然違ったのだ。
「ミーコ、悪い話じゃないよな?」

健一に聞かれて、尚美は脱力したまま「ミャア」と、返事をしたのだった。
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