猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
今こうして外へ出てみると、その気配を色濃く感じ取ることができた。
あのコートが出る番はもうなさそうだ。

少し切ない気持ちになりながら歩いていると、健一がマンションの近くの公園に連れてきてくれた。

一部が遊具の並んでいる子供向けスペースで半分が広場になっていて、みんなが思い思いに遊んだり休憩したりしている。

休日のいい天気ということで、公園で楽しんでいる人は意外にも多かった。
その中を歩いていると時々珍しげな視線を向けられて尚美は自然と背筋を伸ばしていた。

「ここで休憩しようか」
健一が木の下のベンチに腰を下ろしたので、尚美はベンチに飛び乗ってその横に座り込んだ。

今は足裏が汚れているので、健一の膝に乗ることはできない。
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