猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
「ミャア!?」
驚いてその場で大きく飛び上がる。

悲鳴を上げたのに喉から出てきたのは猫の泣き声だった。
いや、水たまりに写っている自分の姿も猫そのものだ。

もう1度、恐る恐る水たまりの中を確認してみると、やはり同じ白猫が怯えた瞳をこちらへ向けていた。

これが……私!?
自分の顔に触れようとしても触れられなかったのは、そもそも人間とは体の作りが違うからだ。

この体で顔に触れようとしたら、人間と同じように腕を伸ばしても無駄だ。
尚美は一度その場にお座りのポーズを取り、それから震える手……前足で自分の顔に触れた。

フワリとした毛の感触にヒッ! と内心で悲鳴を上げる。
少し爪を立ててみるとその感触もちゃんとあった。
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