猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
顔色
動物同士であれば会話できるという衝撃的事実がわかってから一週間ほどが経過していた。

その間散歩へ行くことは1度もなく、他の動物と会話するチャンスはまだ来ていなかった。

元々猫が外を散歩すること事態日本では珍しいことだし、そう何度も散歩へ行くことはないだろうと思っていたけれど、さすがに少し落ち込んだ。

時折ベランダにやってくる雀を見つけては話かけてみるけれど、彼らは他人に興味を示さないようで、群れでの会話だけに熱中して、窓の奥にいる尚美の存在に気がついてすらいなかった。

雀と猫はあまり相性も良くないだろうから、それも仕方のないことだった。

残念ではあるけれど、気がかりなことがもうひとつあった。
散歩へ行った翌日くらいからずっと健一の様子がおかしいのだ。

すぐに息切れしたり、顔色が悪い日が長く続いていて、本人も気にしてビタミン剤や風邪薬を飲んでみたりしているけれど、効果があったとはいいにくい。
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