猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
早く玄関を開けて、顔を見せて。
焦る気持ちとは裏腹に健一はなかなか部屋に戻ってこない。

まさかここへ上がってくるまでの途中でなにかあったんじゃないか。
途中で倒れたんじゃないか。

そんな不安が1分1秒が過ぎるたびに深くなる。
尚美の心臓はドクドクと嫌な汗をかきはじめて呼吸が乱れる。

そうしている間にどんどん健一の気配が強くなってきて、ついに玄関が開いた。
尚美は勢いよく健一に飛びついた。

驚いた健一が「ただいま。そんなに寂しかったのか?」と、声をかけながら抱き上げてくれる。

よかった。
帰ってきた。
無事だった。
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