猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
それに手術とか早期発見という単語が気になりすぎて仕方ない。
「健一さん、これ家から持ってきました。一応全部新品ですから」

女性が大きな紙袋を健一に手渡す。
中には入院に必要なタオルや下着類が入っているようだ。

健一はそれを両手で受け取ると深く頭を下げた。
「ごめん、ありがとう。裕太は?」

「お義理母さんが見てくれています。ごめんなさい。本当はお義理母さんがここに来るべきだったんですけど」

「そんなこと、気にする必要ないよ」
健一が左右に首をふり、義理の妹さんもホッとした表情を浮かべる。

「お母さんは混乱しちゃってて、とても連れて来られなかったんだよ」
と、弟さんが横から補足すると健一は笑って「そんなことだと思ったよ」と、答えた。

家族の会話が一段落したときだった。
さて、というようにみんなの視線が一斉に尚美へ向けられた。
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