猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
大丈夫、余裕で間に合う。
もう少しで向こう側へたどり着くと思ったそのときだった。

突然小さな両手が尚美の体を抱き上げていた。
そのまま抱っこされて見上げてみると息を切らした裕太くんの顔が見えた。

「早くこっちに!」

通行人の男性の声が聞こえてきたかと思って視線をせわしなく移動させると信号が点滅に変わっている。

裕太くんは私の体を抱っこしたまま歩道へと走ったのだった。
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