猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
危険
運良く部屋から飛び出してくることのできた尚美だけれど、当然行く宛があるわけではなかった。

元々この猫は野良猫だったようだし、健一以外の飼い主はいない。
一気に階段を駆け下りてきた疲れが出てきて、尚美はフラフラと街路樹の影に入り込んでいった。

ここにいればひとまずは安全だろう。
空を見上げてみるとポツポツと大粒の雨が振り始めている。

小さな体ではすぐに体温が奪われていってしまう。
どうにかして暖を取れる場所を見つけないと。

そう思ってマンション周辺へ視線を巡らせてみると、横断歩道の向こう側にコンビニを見つけた。

あそこに逃げ込めば少しの間暖をとらせてもらえるかもしれない。
だけどそのためにはこの横断歩道を渡らないと……。
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