猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
だけど今は大粒の雨が降り注いでいる状態だ。
野犬の匂いも気配も雨によってかき消されてしまっていたようだ。

野犬は一匹だけではなかったようで後ろの茂みの中からもう一匹が姿を見せた。

どちらも成犬で、ミーコの何倍もの大きさがある。
捕まったら殺される!

ついさっき死を覚悟していたものの、野生としての本能で生きることへの固執がつ膨らんできた。

2歩、3歩とゆっくり野犬から距離を取る。
喧嘩になっても絶対に勝てない。

それなら逃げるしかない。
ただ、子猫の足で逃げ切ることができるかどうかはわからなかった。

一か八かやってみるしか他はない。
ジリジリと後ろへ下がっているといつの間にかベンチの外へ出ていた。

これでは体ががら空きだ。
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