猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
そんなことを考えてコートの入った紙袋を持ち直した、そのときだった。
信号待ちをしていたとき、「あ!」と、小さな女の子が横断歩道へ向けて指をさすのが見えた。
その指の先をつい目で追いかける。
「猫ちゃんだよ!」
女の子の声がひときわ大きくなると同時に、母親と思われる女性がその手を強く握りしめた。
「ダメよ」
それはおそらく、女の子の見つけた『猫ちゃんの元へ行くこと』がダメだと制したのだ。
女の子の言う猫ちゃんは今横断歩道の白線の上に座り込んで震えている。
まだ生まれたてで小さいのに母猫の姿はどこにもなく、更には車側の信号機が赤に変わったばかりだ。
そうこうしている間に複数の車が行き来しはじめる。
尚美は思わず身を乗り出すようにして猫を見つめた。
信号待ちをしていたとき、「あ!」と、小さな女の子が横断歩道へ向けて指をさすのが見えた。
その指の先をつい目で追いかける。
「猫ちゃんだよ!」
女の子の声がひときわ大きくなると同時に、母親と思われる女性がその手を強く握りしめた。
「ダメよ」
それはおそらく、女の子の見つけた『猫ちゃんの元へ行くこと』がダメだと制したのだ。
女の子の言う猫ちゃんは今横断歩道の白線の上に座り込んで震えている。
まだ生まれたてで小さいのに母猫の姿はどこにもなく、更には車側の信号機が赤に変わったばかりだ。
そうこうしている間に複数の車が行き来しはじめる。
尚美は思わず身を乗り出すようにして猫を見つめた。