猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
驚いて上半身を起こそうとしたけれど、うまく動かすことができずに断念した。
代わりに首を捻って周囲を確認する。

ピッピッという機械音は心電図のようだ。
私は今ベッドに寝かされていて、ここが病院であることがだんだんわかってくる。

自分の体に戻ってきた……?
呆然として天井を見上げた。

猫になっていたときはとても遠いと思っていた天井が、人間に戻った今手を伸ばせば届きそうに感じられる。

「戻っ……た」
つぶやくと酸素マスクの中が白く曇った。

久しぶりに聞いた自分の声。
死んでなかったんだ。

あの交通事故以来自分の体がどうなってしまっていたのかわからなかった。
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